FC2ブログ

更新履歴


▼をクリックすると更新された内容の冒頭部分がご覧になれますので、
久しぶりのご訪問の方はこちらで未読・既読のご確認ができます

【  2019年02月  】 

25 良き旅になりますように

第一章 白き乙女

2019.02.26 (Tue)

 「うん? 何かあったか?」「超個人的なこと。便所でも済ませて待ってろ」「お、お前口悪いな……」「いと、お前も大概だからな? ……席外した方が良いか?」「離れてればそれでいいわ。流風、とアンタもこっちだ」 気を利かせて指導室の端っこへと身を寄せた三人は、暁を中心にして何やら別の話題にしているらしい。話し声をあまり耳にしないようにしてくれているのだろう。その配慮をありがたく思いつつ、強張った表情の流風の腕...全文を読む

PageTop▲

24 頑張り、ます

第一章 白き乙女

2019.02.25 (Mon)

 「どうした流風、泣きそうな顔して。誰かに虐められでもしたか?」「今ならソイツが倍返ししてくれるってよ」「もれなく、いとのドS弄りが付いてくるってよ」「ばかつきてめえ」「おい、イチャついてんじゃねェよ」「いちゃついてねぇ!」 突然始まった暁と結徒の茶番に面食らっていた様子の流風だったが、政葵に室内へと引っ張られた。 政葵がいることに安堵の息をつくが、呆れたような視線を向けられてそっと顔を逸らした。「...全文を読む

PageTop▲

23 彼は、来るでしょうか?

第一章 白き乙女

2019.02.24 (Sun)

  さて、彼らは来るだろうか。 少女は人気のない進路指導室に舞い降りた。何時とは指定しなかった。昨日の様子では、きっと五人全員揃う事は難しいだろう。偽装工作の記憶操作を施して、新たな選出者を探さなければならない。やらなければいけないことはたくさんある。 理事長である彼は、今日は来ないらしい。トラウマを刺激されそうでね、と苦笑をしていた。気持ちは分からなくもないが、今は少女がそれをする立場なのだ。一人...全文を読む

PageTop▲

22 後悔は、したくないから

第一章 白き乙女

2019.02.23 (Sat)

  学校へ向かいます、と告げれば玄関に車を回されていた。誰かに頼りたいわけじゃないのにと思いながらも、断るすべを知らない友喜は静かに乗り込んだ。 未だ、少し悩んでいる。 本当にこの選択をして良かったのか。この選択肢が正しい選択になるのか。 昨日の出来事は全て夢で、本当はこれから昨日がやり直されるのかもしれないと疑ってしまっているくらいだ。 変わりたいと願った。変われると言われた。ソレに縋りたいとも思...全文を読む

PageTop▲

21 ここで怖気づいたりしねぇよ

第一章 白き乙女

2019.02.22 (Fri)

 「タクシーかよ」「お? おお、今日は山本さん休みだし、完全なる私用だからな」 マンションから変なの付きまとわれるのもアレだから、手っ取り早くタクシーを使った。そう続けた暁だが、内心はとても驚いていた。 春休みとなった次の日である今日は、午後から卒業式があるくらいで特に在校生で学校に用があるものは限られている。暁はもちろん昨日の話の続きをするために、進路指導室へ向かうと言う明確な目的があって登校をし...全文を読む

PageTop▲

20 んなもん、知るかよ

第一章 白き乙女

2019.02.21 (Thu)

  昨日は色々ありすぎた。感情が溢れて、柄にもなく取り乱していたような気がする。今日は卒業式が行われるため、数少ない部活が休みの日である。 それにも関わらず、昨日持ち帰り忘れた体操着を取りに行くためだけにわざわざ登校しなければならない。昨日はそれなりに汗をかいた。そのまま放置しておけば間違いなく、臭う。 母の無言の促しもあり、流風は制服に着替えて家を出る。丁度家の前を通り過ぎようとしていた政葵の姿が...全文を読む

PageTop▲

19 できないことなんかないじゃない

第一章 白き乙女

2019.02.20 (Wed)

  ぱちりと、目が覚めた。 寝起きは低血圧気味で覚醒するまでが長い方だと自覚しているのだが、不思議と意識は覚醒していて、このまま二度寝するのは難しいだろうなと思えるくらいには、しっかりと目覚めてしまった。 ゆっくりと時計を見る。時刻は午前六時。いつもより少し早い。 わしゃわしゃと無造作に髪を掻き回し、踏まないようにしてゆっくりと身体を起こす。静まり返った部屋の冷気が、布団から出た体を容赦なく冷やして...全文を読む

PageTop▲

18 そんな、軽くでいいのかよ

第一章 白き乙女

2019.02.19 (Tue)

 「政葵、携帯が鳴ってるぞ」「あ? ほっといてー、どうせアプリの通知だろうし」「それにしては長いから、電話かと思ったのだが……まあ、いい」 逃げられなかった。今日の流風の様子を見て、戸狩家に避難することは出来なかった。 父親は今日帰ってこないと言っていたから、それは気にしなくてもいい。それでも、この兄と同じ屋根の下にいるのはどうも息苦しくてたまらない。 理想の妹になるように言い聞かせてくる、このドがつ...全文を読む

PageTop▲

17 なんでアイツ、しれっと仲良くなってんだよ

第一章 白き乙女

2019.02.18 (Mon)

  ポーンと、音を鳴らした。 調律されたばかりの鍵盤は、思った通りの音を響かせる。防音対策されている部屋の空気を震わせて音が溶け消える。 今日はピアノレッスンする生徒がいないはずだ。母親の演奏会があるとかで、両親ともが不在の文字が冷蔵庫に貼ってあったのを先ほど見かけた気がする。 母親専用の特別なピアノを触る許可は未だに下りていないので、レッスン用のピアノしか自宅では触れられない。そのレッスン用のピア...全文を読む

PageTop▲

16 貴方も、怖いの……?

第一章 白き乙女

2019.02.17 (Sun)

  ぐるりぐるりと言葉が頭の中で回る。考えたくはないのに、刻みつけられたかのようにふと蘇る。『貴方も、このままではいけないとどこかでは分かっているでしょう?』 分かっている。分かってはいるんだ。それでも、体がこわばって動けない。どうすればいいのか、何が正しいのか、分からない。「御子息様、準備が整いました」「っ、あ、は、い」 家令の声に、はっとして顔を上げる。どもりながらの返事はいつものことだと流され...全文を読む

PageTop▲

15 ああ、本当に、嫌だな……

第一章 白き乙女

2019.02.16 (Sat)

 「今日は、やめとくわ」「そうして。ちょっと、八つ当たりしない自信がないし」「ま、仕方ねぇか。大人しくオンゲしてるわ。……あんまり気にすんなよ、じゃあな」 言葉数も少なく、玄関先で政葵と別れた。郵便受けを開き、ダイレクトメールを手に自宅の扉に手を掛ける。 大きく息を吐きだして、ゆっくりと開く。「……ただいま」 大丈夫だ。いつもの玄関。勝手知りたる我が家。 そのことに酷く安心して靴を脱ぎ、リビングへ顔を出...全文を読む

PageTop▲

14 ……いい。遺言になるくらいなら、墓まで持ってく

第一章 白き乙女

2019.02.15 (Fri)

 「はあ!? 何その格好!? 王子様!? 王子様コス!?」「この後記念パーティに呼ばれてて、着替えてる暇なくてなー。俺の正装ー、撮影は禁止ですー」「はああ!? そんなイケメン見させておいてそんなこと言う普通!? ちょっと興奮しすぎて不整脈になった代金で撮らせなさいよ! で、看護師さんたちに売る!!」「肖像権を主張しまーす。つーか、個室とは言えここ病室だからな。落ち着け?」「誰が落ち着かせないでいると思ってるのよ……...全文を読む

PageTop▲

13 そんなの、ただの詭弁じゃないですか!

第一章 白き乙女

2019.02.14 (Thu)

 「君は、風華なの……?」 少女を真っすぐに見つめながら、震えた言葉で流風は問い掛けた。 射貫かれるような強い視線で見つめられた少女は困ったように首を傾げて、何も言わずに微笑んだ。「なんで、答えて……話さないの……? 幽霊だから? そんなはずないよね? だって、ここにいる皆に見えている。そんなはずは」「流風、落ち着け」「落ち着けるかよっ! だって、確かに、見たんだ! 息をしていないのを、死んでるのを、俺は...全文を読む

PageTop▲

12 いと。お前は、それでいいのか?

第一章 白き乙女

2019.02.13 (Wed)

 「おーい、いとー! ちょっと待てって!」「……」「激おこ? 激おこいとくーん、遠野ー、結徒くーん」「うるせぇよっ!」 おっと、ガチギレだとお道化た暁だが、勢いよく止まった結徒に追いついた。ギリギリと強く歯を噛みしめた結徒だったが、堪えるように息を止め、小さく吐き出した。 追いついた暁の肩を強く押して、関係ない、とでも言うかのように、下足箱へと向かう。無言で靴を履き替える。 暁は静かに、その背中に言葉...全文を読む

PageTop▲

11 ……僕も、変われる、の?

第一章 白き乙女

2019.02.12 (Tue)

 「確かに、俺にはその言葉の呪? ってヤツは効いてない。まあ、似たようなもん持ってるからな。いとは抵抗失敗したみたいだけど。ああ、言葉の呪ってのは、アレな。最初に理事長が、そのまま聞いて下さいって言ってたろ? アレ。強制力みたいなもんが発生してて、現にまだ話せないだろ?」 聞いてもいないのにぺらぺらと説明してくる暁の言葉に、何故言葉が離せないんだろうと言う疑問は解消された。解消はされたのだが、暁が話...全文を読む

PageTop▲

10 ……お二人とも、異世界経験者でしょう?

第一章 白き乙女

2019.02.11 (Mon)

  楽しそうに室内の面々を見回しながらも、素直に着席する暁に対し、結徒は少女に肩を掴まれながら無理やり座らされる。とても、嫌そうに顔をしかめながら。 肩を抑えられていなければ速攻で逃げ出したい雰囲気を醸し出す結徒と、楽しそうに笑みを浮かべながらも、静かな視線を理事長と交わす暁。 この二人は元からどこか異質だが、この場においてその異質さが際立って見えるのは、己が動揺しているからだろうか。 意味が分から...全文を読む

PageTop▲

09 世界を救う手助けをして頂けませんか?

第一章 白き乙女

2019.02.10 (Sun)

 「今、内線で二年生の二人を呼ぶように伝えたよ。一年生の三人よりは遅れるだろうが、来てくれるだろうとは思う」「ありがとうございます」 にこりと、少女は笑った。この学内にいるには年が足りないような、成長途中の少女。制服はもちろん身に着けておらず、白いワンピースの裾が長い黒髪と共にふわりと揺れた。「しかし、キミも変わり者だね。雪姫様の代わりにこちらの世界の繋ぐものとなるだなんて」「そうでしょうか? そも...全文を読む

PageTop▲

08 あいつは多分、失った側の人間だ

第一章 白き乙女

2019.02.09 (Sat)

  ズルズルと第二音楽室へと連行された結徒は、乱暴な動作で鞄を床に放り投げた。「そんじゃ、聞かせてもらおうか」「俺の演奏は高いぞ」「プロになったらちゃんと金払って聞くけど、今は今日の俺が犠牲になった分でチャラになると思う」「犠牲じゃねぇだろ、適材適所ってヤツだろ」「物は言いようだな。そんじゃ、純粋に俺がいとの演奏を聴きたいから。どんな理由でも、聴きたい」「……物ハ言イヨウダナ」 大きくため息をついた結...全文を読む

PageTop▲

07 これで、揃った?

第一章 白き乙女

2019.02.08 (Fri)

  時は少し戻り、ホームルームが終了した二年B組の教室。 球技大会総合優勝をした熱が冷めやらないグループ、待ちわびた春休みが来た喜びに予定を互いに教え合うグループ、置き勉の教科書の山をなんとか鞄に詰め込もうとするグループと様々な動きを見せる生徒たち。 どのグループも共通するのは、表彰式での消えた少女についての話題に、会話の中で何度か触れていることだった。 暁は静かにそれを見つめていた。「誰だったと思...全文を読む

PageTop▲

06 あーあ、ばっくれてェ

第一章 白き乙女

2019.02.07 (Thu)

 「刀修と戸狩は、この後進路相談室へと向かうように」「げっ」「えっ」「連絡事項は以上だ。その他の皆は、常識の範囲内で春休みに入るように。では、また来春」 他の生徒たちは無事に春休みへと突入したと言うのに、政葵と流風は進路指導室への呼び出しをくらってしまった。 待ち望んだ春休みが遠ざかり、酷く嫌そうに顔をしかめる政葵とは反対に、流風はさっと血の気を引かせた。 用件が何かは分かっている。 表彰式の、アレ...全文を読む

PageTop▲

05 「        」

第一章 白き乙女

2019.02.06 (Wed)

  球技大会が終わる。 それは、短いながらも長期休暇と呼ばれる冬休みへとの突入を告げることと変わりない。 大会の成績発表は終業式と共に行われるらしく、わらわらとあちこちに散らばっていた生徒たちが第一体育館へと集まり始める。 節目の式であるため、制服に着替えて集まってくる生徒たちは、小さな集まりをあちこちで作り始め、寒い寒いと白い息を吐き出しながら携帯カイロを握りしめていた。 深い濃紺の学ランに、胸元...全文を読む

PageTop▲

04 小さいことは《気にするな》っ!

第一章 白き乙女

2019.02.05 (Tue)

 「なぁいと……」「んー?」「あいつらって、付き合ってたのか?」「はぁっ?」 脈絡のない話題を振られ、思わず結徒は素っ頓狂な声をあげてしまった。「待て暁。何がどうしてそうなった?」「何がって……いや、普通の流れじゃね?」「お前に普通とか言われると違和感しかねぇよ」 この、存在自体が特殊人間め、とけなしていうのか褒めているのかよくわからない言葉を吐き捨て、結徒はこれみよがしに深くため息をついた。「で? 今...全文を読む

PageTop▲

03 まるで住む世界が違うみたいな人たちだよな、あの人たちって

第一章 白き乙女

2019.02.04 (Mon)

 「あー…、やっと終わったー…」 ボロ負けをし、泣いている女子生徒もいるのにも関わらず、彼女は晴れ晴れとした顔で伸びをしつつ、ゆっくりとコートから出て行った。「おつかれ、政葵クン」「馬鹿か、クンじゃねェよ。政葵チャンだっつーの」 にこやかな笑顔と一緒に手渡されたタオルを受け取りつつも、唇を尖らせて訂正する政葵。「んで、流風の方はどうだったんだ?」「そりゃ、もちろん惨敗だったけどさ」 当然だろ。なんてっ...全文を読む

PageTop▲

02 友達、多そうだったな……

第一章 白き乙女

2019.02.03 (Sun)

  一秒くらいしか目を合わせていないのに、いつまでも印象強く残っている瞳。心に焼きついて離れなかった。 今日も学校に来ては見たけれど、何も変わらない。 バスケに参加してみたけれど、パスが一回も回ってくるわけでもないし、誰かとうまく言葉を買わせることだってできない。 普通にそこに存在していないかのように、腫れ物扱いされるかのようにして振舞われるだけ。 何も変わることなんかないって、わかっているのに、ど...全文を読む

PageTop▲

01 ま、色んな奴がいるってことだろ?

第一章 白き乙女

2019.02.02 (Sat)

 「ダーンクシューッ!」 ガゴンッ! リングにバスケットボールを叩き込むと、リングだけでなく、ボードまでもが揺れた。 網から揺れるように落ちるボールが床にはねる前に、無情にも、ピピーっと試合終了の笛が鳴り響いた。「暁。いつまでそこでぶら下がっているつもりだ?」「んぁ? もう終わり?」 コートの中央へとぞろぞろ集まるメンバーたち。筋肉がしっかりとついている者もいれば、もやしのように細い者もいる。 今日...全文を読む

PageTop▲

プロローグ

第一章 白き乙女

2019.02.01 (Fri)

 「……もう、わらわの力だけでは、この世界を支えられぬ」 幼き声が、ぽつりと零した。 小さな泣き言。小さなあきらめの言葉。 それがただの幼子の言葉なら、その子を慰めれば済む話であろう。「崩壊しか待てぬのか……? わらわは、この世界を見捨てねばならんのか?」 大きな瞳に涙をため、必死でこらえるも泣き言を漏らす声は震えてしまう。 今まで慈しんできた世界だからこそ。 今まで愛してきた世界だからこそ。 これまで...全文を読む

PageTop▲

前月     2019年02月       翌月

更新履歴カレンダー

01 ≪│2019/02│≫ 03
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 - -

月・日を選んでクリックすると
更新履歴が表示されます。