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「ARUTOYU_MA」
第一章 白き乙女

24 頑張り、ます

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「どうした流風、泣きそうな顔して。誰かに虐められでもしたか?」
「今ならソイツが倍返ししてくれるってよ」
「もれなく、いとのドS弄りが付いてくるってよ」
「ばかつきてめえ」
「おい、イチャついてんじゃねェよ」
「いちゃついてねぇ!」

 突然始まった暁と結徒の茶番に面食らっていた様子の流風だったが、政葵に室内へと引っ張られた。
 政葵がいることに安堵の息をつくが、呆れたような視線を向けられてそっと顔を逸らした。

「どういう風の吹き回しだよ?」
「……別に」
「別にってお前な。さっきの今だぞ? あんだけ頑なに拒んでたお前がここに来るって、そりゃ勘繰りもすんだろ」
「お、やっぱり魚若も来たか!」

 ひそひそと交わしていた言葉に被せるように、暁の明るい声が響いた。
 開け放たれたままの扉の向こうでは、戸惑った様子の友喜が恐々と室内を除いている。ほっとした様子の少女の隣で、暁が手招きをした。

「行く意思があるなら、そのまま入って来ればいいぞ?」
「あ、……う、うん」

 恐々と、周りの様子を伺いながらも友喜は自らの意志で進路指導室へと進んで行く。面白くなさそうに顔をそむける結徒を見ると俯きかけたが、少女と暁に迎え入れられたところでしっかりと顔をあげた。

「あ、の……」
「おう」
「僕に、……手伝わせて、下さい」

 異なる世界を救う事を。

「……変わりたい、から」

 少女を見つめて、下がりそうになる視線を必死に上げて、友喜ははっきりと言い切った。
 あんなハッキリと言うところを初めて見た気がする。いつも自信がなさそうにハブかれていて、関わりたくないが故に視界に入れないようにしていた彼が、だ。
 驚きのあまり言葉が出なかった。

「意思がある者、受け入れましょう。……いいえ、こちらがお願いするのです、どうぞよろしくお願いいたします」
「頑張り、ます」

 少女が返す言葉にも、しっかりと答えられる。それも気張っていたのか、ほうと息をつくと同時に握られていた拳が少し緩んだ。

「今、めっちゃ頑張ったじゃん」
「……うん」

 子どもにするように、暁はわしゃわしゃと友喜の頭を掻き回した。友喜は抵抗するわけでもなく、少しはにかみながらソレを受け入れていた。

「おい、お前そいつ構うのか?」
「んー? 俺ね、学校内カーストとかどうでもいいんだよなー。ほら、見てる世界が違うからな!」
「自分でそれ言うか普通?」
「ははーん、いとも視界狭まってるぜ? 学校内での噂は噂。昨日話した時点で、ぐいぐい話すのは苦手と判明。んでもって魚若コーポレーションの御曹司としての教育はそれなりにされてる。噂雀と魚若と、将来的に付き合っていく利点があるのはどーっちだ?」
「……おい、なんかあったら遠慮なく頼れよ。見返り次第でオレもたまには手伝ってやらなくはない」
「見事な手のひら返しだな、おい!」

 カラカラと笑う暁に、目を白黒させている友喜。結徒が真顔で言うものだから、少女もつられて笑っていた。同じ空間にいるのに、そこだけ空気が違って見えた。
 たまらず政葵は声をあげた。

「悪い、ちょっと時間貰っても良いか?」
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