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「BLUE_LIGHT」
Episode.0 不思議の国のアリス

05 穴の終着点

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 落ちる。
 落ちて。
 落ちた。

 一体終わりはいつになったらくるの? と、眩暈がする頭の中でそればかり考えていた。

 気持ち悪い。
 頭から落ちているわけでもないけど、くるくると、右に左に上に下に、縦横無尽に振り回されているわたしの体。
 全身から力が抜けて、どうにでもなれと思う半面、この指輪だけは放すわけにはいかないと強く思う。
 まだお金を払っていない商品だからって言う、そんな責任感だけじゃない。

 ただただ、これは大切なものだから放しちゃいけない、なくしちゃいけないものなんだと思う。

「……っ」

 急に視界が開けた。
 ばっと、光が目に射し込んでくる。
 ずっと暗い穴の中を落ちていたからか、光が眩しすぎて痛い。
 まぶたを下ろしても眩しいと感じるほどに。

 穴の終わり。

 終わりってことは、そこに何かがあるってことで。
 それがなんだかは分からないけど、それが地面だったら、なんて考えちゃうと……。

 わたしもしかして、死んじゃうのかな。

 恐くて目を開ける事すらできなかった。
 何が待っているのかも分からないけど、抵抗する事も忘れてたけど、ぎゅっと強く指輪を握る事しかできなかった。

「……やっ」

 不意に、下から吹き抜ける風とは違う何かが、わたしを包み込んだような感覚がした。
 ふわり、と。まるで洗いたてのタオルにくるまれるような感覚。

 何が、起こったんだろう?

 不思議に思ってそっと目を開けると、まず光が射しこんできた。
 眩しいと、細目になりながらも何があるのかが見たい。

「う、み?」

 飛び込んできた青色。
 キラキラと反射している光が眩しくて、思わずぽかんと、口を開けた。

 桜の木の穴に落ちた先が、海?

 ううん、それだけじゃない。
 その海の上を、わたしは浮いている。浮いているの、ふわふわと。
 何に支えられているわけでもないのに、まるで魔法みたいに。

 どうして浮いているんだろう?
 て言うか、どこに向かっているんだろう?

 きょとんとしたまま、いつ海の中に落ちるかは分からないけど、そんなことも考えないでいた。
 考えないようにしていた。

「あれ? 女の人みたいですよ」
「女だね、船長に怒られるかもよ?」
「大丈夫、その時は連帯責任ですから」

 声が聞こえた。
 なんとなくそっちを見ると、海にぽつんと浮かんだ船に人の影が見えた。わたしはその船に向かって運ばれているみたい。

 その船は、質素だけど頑丈で綺麗と言うかなんと言うか。白の船体に黒の縁取りが上品に感じた。
 それは別にいいけど、絵で見たことがあるようなマストが張られている。

 いまどきマストなんて張るような船、こんな大きなものでもあるの?

 でも、そのなかでも特に目を惹いたのが、そこに描かれた絵。
 ハートの黒い目と、赤い薔薇の背景が描いてあったそれは、漫画とかでしか見たことがない、


 海賊旗(ジョリーロジャー)だった。
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