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「Hazel amd Gray」
緑色に口付けを

02 彼の呪い

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『君が好きだよ、愛してる』
『ジークフリートさま……』
『こうして二度と離れたくないくらい……、いや、誰に言われたって離しはしない』
『離さないで。強く、抱き締めていて』
『あぁ、君に永遠の愛を誓うよ』
『嬉しい……!!』

 貴方の胸に抱かれるなんて夢みたい。
 悪魔の娘が幸せになってもいいの? いいのよね、ロッドバルト?

 ずっと遠くから貴方を見つめていることしかできなかったのに、貴方の前に現れれば、貴方はアタシを選んでくれる。
 送り続けていたアタシの想いに気付いてくれてたのね!

『私の隣に立つのは、君しかいない』

 嬉しい……、嬉しいわジークフリートさま!
 アタシを、アタシのすべてを今すぐにでも貴方のモノにして下さいなんて。
 恥ずかしくて口になんかできないけど、貴方の胸にしがみついた。

『ジーク、フリート、さま……?』
『え?』

 か細い声が聞こえた。
 痛いくらいに抱き締められていた腕がほどける。

 どうしたのジークフリートさま。
 貴方に愛を誓われたアタシは、ここにいるのよ?
 どうして、あんな女なんか、見てるの……?

『信じてましたのに……』
『オデットが、二人……!?』
『さようなら、ジークフリートさま』
『待って! 待ってくれオデット!』

 走り去っていく白い羽根をまとった女。

 ねぇジークフリートさま、どうしてあんな女なんかを追い掛けるの?
 アタシはここよ!?
 ジークフリートさまを愛してるのはアタシ!
 貴方が選んだのも、アタシなのに!!

『ジークフリートさまっ!!』
『っ!?』

 振り返る。
 ジークフリートさまはアタシを見て、その瞳を大きく見開かれた。


『君は、誰なんだ……?』


 なんで、そんなこと聞くの?
 アタシを選んで下さったのに?
 アタシを“アイシテル”って、言って下さったのに?

 答えられないアタシの身体が、ふわりと宙に浮いた。
 その綺麗な瞳が絶望に染まっているのが見えて、苦しくてくしゃりと顔を歪めた。

『実に愚かですね、人間の王子よ』
『お前は……!?』
『私の名はロッドバルト。何、その正体は崇高なる悪魔にしかすぎませんが』

 ロッドバルトは低く笑って、ジークフリートさまを見下ろす。

『愚かな貴方が選んだのは我が娘、オディール。オデット等ではないのですよ』
『なん、だと……!!』

 どうしてそんな驚かれているの!?
 だって、貴方が選んだのはアタシでしょ!?

 他でもないアタシが、選ばれて、愛を誓われたのに……!!

『愚かな貴方がオディールを愛したのは事実。これで、オデットの呪いは、解けない!』
『なんてことを……!!』
『あぁ、恨むのはお門違いというものですよ? 私はただ、オディールにオデットの姿を写しただけではないですか。こんな魔法くらい、貴方たちが言う三流劇の“真実ノ愛”とやらで見抜けるものではなかったのですか?』

 待ってよロッドバルト!
 それならねぇ、アタシが選ばれたんじゃないの?
 ジークフリートさまは、オディールを選んでくれたんじゃないの?
 アタシに囁いてくれた誓いは、全部アタシに向けてじゃなかったの!?

『そう睨んだところで、オデットの呪いは解けませんよ。少なくとも、貴方にはね』

 ねぇ、そんな瞳で見ないで。
 そんな鋭く抉りとられそうな瞳で見ないで!

 見ないでジークフリートさま!
 アタシを、そんな瞳で、


 見ないで!!
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