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「Hazel amd Gray」
親愛なる蒼姫へ

09 四通目

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 あたしは気付いている。
 それに目を向けないようにしているだけで。

 あたしが何をしたか。あたしが何をしてしまったか。
 犯してしまった罪の大きさを、あたしは気付いている。
 苦しいくらいに、あたしは理解しているの。

 泡となって消える。そんな逃げ道はもう許されない。
 あたしが犯してしまった大罪は、きっと消えることはないでしょう。
 彼から預けられた子どもたちを受け入れることで、保護することで、その罪から目をそらそうとしているあたしを、どうか許してください。

 それほどまでに、あたしはあなたのことが大好きでした。
 それくらい、あたしはこの事実に耐えられそうになかった。
 こんな卑怯で、臆病で、嫌な女を許してとは願いません。

 だけど、シャーロック。どうか見ていて。
 あたしが奪ったあなたの時間を、あなたの理想の形を残します。
 あなたが成し遂げられなかったことを、あたしはやります。
 王族として、じゃなくて。あなたを受け継ぐため。

 あなたの愛はあたしに向けられなかったけれど。
 それなら、あたしはあなたの愛以外のものすべてをもらいます。
 それが、今のあたしにできる、あなたへの罪滅ぼしです。
 泡になって消えることなんて、許されないでしょう。
 あたしの自己満足にすぎないのかもしれません。
 それでも、犯した罪は消えません。いくら償ったとしても、償いきれるものではないでしょう。

「大好きでした」

 直接伝えられなかった言葉。

「あたしは、シャーロックが、大好きでした」

 今更こんなことを、あなたに伝えられる筋合いはないけれど。初めて、言葉として、あたしは想いを形にしました。
 それと同時に、この想いを、気持ちを手放そうと思います。

「どんな姿のあなたでも、大好き、でした」

 手には、硬質のナイフ。それを汗ばむ手でぎゅっと握りしめる。
 鈍く輝く刃を髪にあて、ざっくりと肩口で切ってしまう。
 あたしにはもう必要のないものだから。歌声を手放したように、この長い髪も許されない想いと一緒に手放してしまいましょう。

 ぱらぱらとこぼれる髪が、海へと吸い込まれて消えてゆく。
 想いも同じように簡単に消すことなんかできないけれど。大好きなあなたに、二度と会えなくなった今となっては、それもただあたしを戒める傷でしかないのだから。
 その痛みを感じて、あたしはこの罪を抱えながら生きていきます。

「ごめんなさい、シャーロック」

 あたしなんかが謝っても、どんな言葉を告げても、許されることじゃないけれど。この海へと向かうたび、あたしは何度だってこの言葉を口にしてしまうでしょう。
 それだけは、どうか、許してください。
 あたしは、何も答えない海に向かって、必死に祈り続けていた。


 海より陸に上がった蒼き姫よ。
 己の罪に、胸を痛める姫君よ。
 貴女が望むのであれば、私はどんなものでも手に入れて見せよう。
 貴女が望むのであれば、私はどんなものでも捧げて見せよう。
 私としては、その罪と言う彼との繋がりごと、断ち切ってしまいたいのだが……それは、貴女は望まないのでしょう。
 それは、まことに残念ではありますがね。

 ですが、どうかお忘れなきように。
 私は貴女のためなら、どのような困難でも乗り越えることを。
 そう、貴女が口にしようと、口にしまいと。
 貴女が望むことすべて。そのお心が手に入るまで叶えて差し上げましょう。
 そうですね、まずは……、

 あの女を、かの国から排除してしまいましょうか。


 to be next……?


モチーフは人魚姫
悪魔の行動理由の特別短編2
有り得ない筋書きの切な目です
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